ケーススタディ
Q.
Aさんは、相続財産として更地(相続評価1億円)とその他の財産1億円の合計2億円を有しています。「銀行から5千万円の借入をしてアパートを建てる」土地の有効活用を検討していますが、実際に効果はあるのでしょうか?
【前提条件】
- 不動産贈与から1年後と10年後に相続が発生する場合を想定する
- 法定相続人 配偶者1名、子2名
- 土地1億(路線価50万円×200㎡、借地権割合0.7、借家権割合0.3)
- アパートの宅地は貸付事業用宅地等の特例の対象とする
- ローンの返済方法 元利均等20年返済、年利2%、元利合計年間返済額302万円
- 年間家賃収入600万円、税引前利益180万円
- 建物の取得費5,000万円(固定資産税評価額3,000万円)
- 建物の耐用年数20年、年間減価償却250万円
- 法定相続分により相続するものとし、一次相続時には配偶者の税額軽減を適用するものとする
A.
No. | 項目 | 対策前 | 対策後1年目 | 対策後10年目 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
① | 土地 | 10,000 | 10,000 | 10,000 | |
② | その他の財産 | 10,000 | 10,204 | 11,842 | 家賃収入により増加 |
③ | アパート建物 | – | 4,750 | 2,500 | 減価償却後薄価 |
④ | アパート建設借入金 | – | △4,795 | △2,755 | 返済後残高 |
⑤ | 純資産合計 | 20,000 | 20,159 | 21,587 | ①+②+③-④ |
⑥ | 一次相続税 | △1,350 | △433 | △763 | Aさんの相続時 |
⑦ | 二次相続税 | △770 | △153 | △405 | Aさんの妻の相続時 |
⑧ | 税引後相続財産 | 17,880 | 19,573 | 20,419 | ⑤-⑥-⑦ |
アパート建築の効果
上記のケースではアパートを建てることで、1年目で仮に相続が発生した場合は合計で1,693万円、10年目で2,539万円の節税効果が生じます。
効果のポイント | 対策後1年目 | 対策後10年目 | 備考 |
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上記⑤の純資産合計 | 20,159 | 21,587 | 土地有効活用により2億円から増加した相続財産 |
アパート建物の相続税評価額への減額調整 | △2,650 | △400 | ①建物=5,000万円-(250万円×経過年数) ②貸家=固定資産税評価額(3,000万円)×0.7 ③減額=①ー② |
アパート建設による貸家建付地評価 と小規模宅地等の特例適用 | △6,050 | △6,050 | 貸家建付地=10,000万円×(1-0.7×0.3) 小規模宅地等評価=7,900万円ー(7,900万円×0.5) |
相続税の課税遺産額 | 11,459 | 15,137 | 対策により20,000万円が左の金額に圧縮される |