オリオン税理士法人
不動産に係るその他の税金

固定資産税・都市計画税


固定資産税とは、土地・家屋等の固定資産を所有している者に課される市区町村税です。都市計画税は都市整備費用に充てるための目的税で、都市計画法による市街化区域内に所在する土地・家屋所有者に課される税金です。固定資産税・都市計画税(以下、「固定資産税等」という)は、1月1日現在において当該資産を所有する者に対して、市区町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格(固定資産税評価額)をもとに課税標準額を算出し、これに下記の税率を乗じた金額となります。固定資産税等は賦課課税方式で、毎年6月ごろに各市区町村から納税通知書が届きます。納める時期は、6月、9月、12月、2月の年4回となります。


固定資産税等の計算

 固定資産税 = 課税標準額 × 税率1.4%
 都市計画税 = 課税標準額 × 税率0.3%※

※0.3%は制限税率(超えてはならない税率)であり、都市計画税は各自治体により異なる場合があります


固定資産税等の住宅用地・家屋の特例措置

住宅用地

住宅用地とはマイホームやアパートのように住宅用家屋の敷地や、住宅用家屋の敷地と一体となっている庭や自家用駐車場などをいう

  1. 小規模住宅用地:1戸につき200㎡以下・・・固定資産税評価額×1/6【固】、1/3【都】
  2. 一般住宅用地:小規模住宅用地以外・・・・・固定資産税評価額×1/3【固】、2/3【都】
  3. 上記の特例措置は家屋の延床面積の10倍を限度とする
  • マンションなどの場合、敷地全体の面積でなく1室当たり敷地権による面積で判断する
  • 住宅が建った年の翌年1月1日から特例措置が利用可能となる
  • 空家対策に係る特別措置法に基づく、特定空家等に係る土地は特例措置の対象外となる

新築住宅

  1. 新築された住宅が、下記の要件を満たす場合は、新たに課税される年度から3年分(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年分)に限り、住宅に係る固定資産税額(居住部分で1戸当たり120㎡相当を限度)が1/2に減額【固】される
  2. 認定長期優良住宅が、下記の要件を満たす場合は、新たに課税される年度から5年分(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は7年分)に限り、住宅に係る固定資産税額(居住部分で1戸当たり120㎡相当を限度)が1/2に減額【固】される
  3. 都市計画税については、原則軽減特例はないが、各自治体により異なる
  • 期限は令和8年3月31日までの新築等に限る
  • 居住部分の課税床面積は1戸につき50㎡以上280㎡以下であること
  • 貸家住宅の課税床面積は1戸につき40㎡以上280㎡以下であること
  • 認定長期優良住宅の場合は、新築した翌年1月31日までの申告が必要である

(注)上記の【固】は固定資産税、【都】は都市計画税の減額割合を示しています。


固定資産税等の免税点

市区町村の各域内に、同一人が所有する固定資産の課税標準額の合計が、土地30万円未満、家屋20万円未満の場合は、固定資産税は課税されません。


計算事例

Q.

Aさんは令和6年6月に更地に戸建て住宅を新築しました。土地の面積は90m²で家屋の延床面積は100m²です。固定資産税評価額は、土地が2,700万円で建物が1,500万円でした。その他、固定資産税評価額に変動はないものとします。令和5年と令和6年、それぞれの固定資産税はいくらになるでしょうか。

A.

令和5年

令和5年1月1日において更地であったため土地の軽減特例はなし
令和5年1月1日において住宅は建っていなかったため課税なし

【土地】
①課税標準額2,700万円
②固定資産税2,700万円×1.4%=37.8万円

令和6年

【土地】
①課税標準額2,700万円×1/6=450万円
(200㎡以下の小規模住宅用地に該当)
②固定資産税450万円×1.4%=6.3万円
【家屋】
①課税標準額1,500万円
②固定資産税1,500万円×1.4%×1/2=10.5万円
(新築住宅としての税額軽減に該当)
令和6年固定資産税計土地6.3万円+家屋10.5円=16.8万円

固定資産税等の留意事項

負担調整措置(令和9年3月31日までの延長措置)

固定資産税評価額は3年に1度、資産の評価替えを行います。評価替え年度を基準年度といい、令和6年は基準年度に該当しています。住宅用地については、負担水準(=前年度の課税標準額÷評価額)に応じて、課税標準額に下記の調整をします。

•負担水準が100%以上:評価額の100%
•負担水準が100%未満:前年度の課税標準額に評価額の5%を加算した額

資産売却後の納税義務について

固定資産税等は、1月1日に所有していた者(登記簿上の所有者)に対して課税されます。したがって、年の途中に売却等されたとしても納税負担者は、1月1日付の所有者となります。ただし、不動産の売買契約を行う場合、商慣習により固定資産税等を日割り計算により購入者が購入後の税金を負担することが多々あります。売却した方が、購入者より固定資産税相当分を受取った場合は、不動産譲渡代金に含めて確定申告する必要があります。

家屋を滅失した場合について

家屋を滅失した場合は、滅失した翌年度から当該家屋の固定資産税が課税されないことになります。ただし、滅失した家屋が住宅の場合、住宅用地に係る特例措置が適用できなくなるため、翌年度以降の土地の固定資産税等が上昇する可能性があります。

特定空家等に該当した場合

平成27年5月施行の「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、特定空家等に該当した場合、固定資産税等の負担が高くなる可能性があります。特定空家等とは、そのまま放置することで倒壊等の恐れがあるような場合、景観を損なう場合、衛生上有害になる恐れがある場合の空家をいいます。

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