所得税法基本通達85-1では、年の中途において死亡した居住者(被相続人)の親族等が扶養配偶者又は扶養親族に該当するかどうかの判定に当たっては、次によるものとされています。
(1) 当該親族等がその居住者と生計を一にしていたかどうか、及び親族関係にあったかどうかは、その死亡の時(その年1月1日から当該時までに死亡した親族等については、当該親族等の死亡の時)の現況により判定する。
(2) 当該親族等が同一生計配偶者若しくは配偶者又は扶養親族に該当するかどうかは、その死亡の時の現況により見積もったその年1月1日から12月31日までの当該親族等の合計所得金額により判定する。
(1)については、被相続人の死亡時点における親族等との同居の有無や家賃、水道光熱費などの負担者が誰かなどの客観的事実で判断すればよいので迷う余地はないと思われます。
(2)については、慎重な判断が求められます。
例えば、被相続人が不動産賃貸業をされていた場合、遺言書があり場合を除き、法定相続分により賃貸物件を相続したものとして所得を見積り、配偶者控除や扶養控除の対象となるかを判定します。
また、4月から新社会人として働き始める相続人であれば、その年の12月までの概算給与を以て判定することになります。
他方、不肖のニートの相続人が親の死をきっかけに働き始める、ということもあるかもしれません。
さすがにこの場合の取り扱いについて規定や裁決事例などはありませんが、見積額には譲渡所得や一時所得など発生するか不透明な所得は見積りに含めないこととされている一方、収入が絶たれれば生活できないので、働く蓋然性が高いと判断すべきか。個人的には前者で問題ないと思いますが悩ましいところです。
(HIPON)