業界的に確定申告時期(3月15日)も近づいてまいりました。
ここ数年は、この時期に必ず話題になる、仮想通貨の確定申告。
その中でも少し特殊な取引(ハードフォーク・ステーキング・レンディング・エアドロップ・マイニング)
の税務的な取扱いをおさらいしようと思います。
◆ハードフォークの税務的取扱い
仮想通貨には、フォーク(何らかの仕様変更を行うため、ブロックチェーンを枝分かれさせる)と呼ばれる
既存の仮想通貨を新しくバージョンアップさせることがありますが、
中でも、ハードフォークと呼ばれる処理が行われた場合、古い通貨と新しい通貨に分かれ、
双方に互換性がなくなるため、事実上、新たな通貨が誕生します。
そして、もともとの所有者に対して、ハードフォークをした通貨が配布されることがあります。
(ビットコインが、ビットコインとビットコインキャッシュに分裂した事例が有名ですね。)
この場合、取得時点では課税対象とはならない(=申告不要)であり、
これらを売却・交換・使用した際に初めて課税の対象となります。
【課税所得=売却等数量×売却時の時価△取得価格(=0)】で計算します。
◆ステーキング・レンディングの税務的取扱い
仮想通貨取引をしていると、取引所等から、
「対象の仮想通貨を所有しているだけで報酬が受け取れる」、いわゆるステーキングの案内や、
「対象の仮想通貨を取引所に貸し出すことで利息報酬が受け取れる」、いわゆるレンディングの案内が来ることがあります。
この場合、報酬の受取り(ウォレットに入金)の時点で、課税されます。
【課税所得=受取数量×受取時の時価】で計算します。
◆エアドロップの税務的取扱い
仮想通貨やNFT界隈でよく耳にするワードで、エアドロップがあります。
これは所定のタイミング(=スナップショット)において、指定された仮想通貨を保有しておくと、
トークンなどが無料で配布されるイベントです。
この場合の税務処理ですが、実は明確には定められていません。
なので断定的な説明はできませんが、以下のように考えられます。
・まだ未上場で価値が全くつけられていないトークン等
⇒ハードフォークと同様に、取得時点で所得の算出が不可能なので、売却するまで課税されない。
・既に海外取引所などで上場していて価値がついているトークン等
⇒ステーキングと同様に、取得時点で所得の算出が可能なので、取得時に課税される。
◆マイニングの税務的取扱い
マイニング(仮想通貨特有のブロックチェーンと呼ばれる仕組みを維持するための計算処理)
を行うことで、仮想通貨を報酬として受け取ることができます。
この場合、以下のように算出します。
【課税所得=受取数量×受取時の時価△経費(※)】
※マイニングは、作業工程において、PCや膨大な電気などが必要となるので、
それらを必要経費として計上することが可能です。
仮想通貨取引を行っていると、ステーキングやエアドロップによって、
意図せず、自身の資産が増えている、なんてこともよくある話です。
特に、大きな金額を取引している方は、法人を設立することで有効な節税ができる場合もありますので、
一度検討されてみてはいかがでしょうか。
(Sim)