中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた一定の中小企業者などが平成29年4月1日から令和5年3月31日までの期間内に、特定の資産を取得、製作、建設し、事業の用に供した場合には、事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却または税額控除が認められています。
この制度の対象となる資産は、新品の生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備ならびにソフトウェアで、一定額以上のものです。
ただし、貸付けの用に供する資産は、特定経営力向上設備等には該当しません。
例えば、不動産賃貸業者が貸ビル内のエレベーターと、ビルの屋上に設置する変圧器を買い替えた場合、この制度は適用できるのでしょうか?
この点、中小企業庁や税務署に確認したところ、生産性向上設備投資促進税制のQ&Aの中に、賃貸契約の内容と実体で判断するとの記載があり、これが準用されると思われます。
エレベーターは、賃貸契約書にも共用部としての記載がある場合が多いと思われます。
また、エレベーターは貸付資産に組み込まれていることや、各フロアを利用するためには、エレベーターは必要不可欠な資産であることからも貸付資産の一部といえます。
よって、エレベーター自体を貸していなくても間接的には貸付けの用に供している資産といえますので、適用は難しいと思われます。
一方、変圧機は賃貸契約の中に貸付動産として謳われていない場合がほとんどだと思います。
また、変電機は取り外して他の業務に転用可能であることや変圧器がなければフロアに電気が通らず、間接的に被害を受けることがあるにせよ、貸主も借主も変圧器を賃貸借しているという認識は乏しいことからも貸付資産の一部とまではいえないと思います。
よって、変圧器は税額控除または特別償却の適用対象資産になると思われます。
このように個別の利用実態見て可否の判断を行うことになりますが、判断が難しく、納税額に与える影響も大きいので、事前に税務署等に照会することをお勧めいたします。
(HIPON)