全国銀行協会では、2022年11月に「電子交換所」を設立し
全国各地の手形交換所を経由して搬送している手形・小切手の交換方法を電子化しました。
利用者の手続きに変更はなく、従来どおり紙の手形・小切手もこれまで通り利用できます。
今後は、金融機関が持ち込まれた紙の手形等をイメージデータに変換し電子交換所に送受信する仕組みに変わりました。
■電子交換所利用時の注意点
1.用紙の変更
電子交換所ではQRコードによる処理を可能としていますので
金融機関によってはQRコード付き用紙に変更となる場合があります。
2.取立手数料の改定
金融機関によって金額の差はありますが、電子交換所参加の場合と
不参加(郵送対応が必要なもの)とで分かれ原則一律の手数料に変更されています。
3.資金化時限の変更
▼支払可能時限
支払場所が遠隔地の場合、今後は早まることがあります。
▼引落時限
原則一律、早朝の引き落とし。
4・記入方法と禁止事項
券面の情報を正しく読み取るために注意が必要です。
▼アラビア数字(算用数字)で記入する場合
チェックライターを使用。金額の頭には「¥」を、その終わりには「*」、「★」などの
終止符号を印字するほか、3桁ごとに「,」を印字する。
▼漢数字で記入する場合
規定の漢数字以外は読み取れません。崩し字は使用せず、楷書で丁寧に文字の間をつめ記入する。
金額の頭には「金」を、その終わりには「円」または「円也」を記入する。
▼訂正方法
金額を誤記した場合は、新しい手形・小切手用紙を使用する。
金額以外の誤記は、訂正箇所に届け印を押す。訂正の記入やなつ印を金額欄、銀行名、QRコード欄に重ねない。
▼禁止事項
券面へのメモ書きはしない。文字による複記、補記はしない。
*参考(三菱UFJ銀行サイト)
■不渡情報の共同利用の終了
全国銀行協会の公式サイトによると、手形・小切手が不渡りとなり、取引停止処分となったときは
一定期間、取引ができなくなります。その際に不渡情報は手形交換所に提供され
参加金融機関などで共同利用されてきましたが、電子交換所には各地の手形交換所の不渡情報が引き継がれません。
そのため不渡情報の開示請求をしても、一律「該当情報はありません」という回答になっています。
*参考(全国銀行協会サイト)
なお、今回の交換方法の電子化に伴い、2026年度には紙の手形・小切手は廃止する方向で進められています。
引き続き電気記録債権(通称:でんさい)は使用できます。
でんさいは全国銀行の子会社、全銀電子債権ネットワークが運営しており信頼性も高いのが特徴的です。
2013年2月に始まったでんさいは、紙の手形と異なり印紙税が必要なく、郵送や取り立てなど事務作業も軽減され
電子化することで紛失や盗難のリスクもなくなります。 スタートから約2年で利用登録の社数は40万社を突破しましたが
その後は一進一退をたどり、2019年5月は初めて登録社数がマイナスになるなど伸び悩みましたが
コロナ禍で電子化の動きが加速し、2021年から再び増加ペースが強まっています。
ただ、でんさいを利用する会社は大都市が多く、業種の偏りもあり
全てがでんさいに置き換わるにはまだ時間がかかりそうです。
t.w