オリオン税理士法人
相続税

特定遺贈と税金


民法の改正により令和2年7月より自筆証書遺言書を保管する制度が創設されました。
この制度の解説や相続人同士のトラブルを回避するための手段として、週刊誌などに遺言書が取り上げられる機会も増えてきており、広く遺言書について知られてきているように感じます。
今回はそんな遺言の種類の一つである【特定遺贈】と税金について書いてみたいと思います。

①特定遺贈とは
 特定遺贈とは、遺贈する財産を指定して遺贈することをいいます。
 「A不動産の半分を遺贈する」というように、財産を指定し、さらにどのくらいの割合かを指定して遺贈することをいいます。

②消費税について
 消費税法では、相続により被相続人の事業を承継した場合、被相続人の課税売上高を考慮して消費税の納税義務の判定をすることとなっています。
 上記“相続”は包括遺贈は含むものとしていますが、特定遺贈と死因贈与を含んでおりませんので、特定遺贈と死因贈与による事業承継の場合には、遺贈者等の課税売上高を考慮しないで判定を行うこととなります。(消法2④、消基通1-5-3)
 なお、生前に事業を承継した場合には、消費税の納税義務を承継する規定はないことから、2年間免税事業者となることが可能です。
 また、各種届出書の効力についてですが、こちらは承継されませんので適用を受ける場合には受遺者があらためて提出する必要があります。令和5年10月から開始されるインボイス制度に関する届出も必要となります。

②相続税について
 特定遺贈を受けた場合には、相続税法における債務控除の適用がありません。
 一方、マイナス財産を遺言で指定された場合である負担付遺贈の場合には、マイナス財産の控除が可能で、そのときは≪遺贈された財産価額≫から≪マイナス財産の価額≫を控除します。これによりヒモ付きの債務については控除ができるようになっています。(相基通11の2-7)

③不動産が承継対象財産である場合について
 受遺者が相続人以外の場合には次のようになります。
  ・登録免許税の税率が0.4%から2%になります。
  ・不動産取得税が課税されます。
 よって、相続人である受遺者が特定遺贈により不動産を承継した場合には影響がありません。

上記のように、遺言書の内容によっては税金の結果が左右される場合があります。
遺言書の作成を検討されている方は、一度専門家にご相談をされたほうがよろしいかと思います。

y.s

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