オリオン税理士法人
所得税

自社所有社宅の家賃について


役員、使用人に対して社宅や寮を貸与する場合には、役員または使用人から1か月あたり一定額の家賃(以下、「賃貸料相当額」という)を受け取っていれば給与として課税されません。(所法36、所令84の2、所基通36-40~41、平7課法8-1外)。

そのため、役員や使用人に対して無償で貸与、または賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、賃貸料相当額との差額が給与として課税されることとなります。

 この場合、自社所有の社宅の取り扱いについては、小規模な住宅とそれ以外、豪華社宅の3つに分類されていますが、そのうち、小規模な住宅と小規模な住宅以外については所得税法基本通達36-41及び36-40で当該月額の賃貸料総合額が規定されています。

 この計算式には、固定資産税の課税標準額を利用する旨規定されていることから、当該「固定資産税の課税標準額」の解釈をめぐりすくなからず議論があります。

 国税庁はHPにて照会要旨を掲載しておりますが、それによれば

「固定資産税の課税標準額は、賦課期日(1月1日)における固定資産の価格として固定資産課税台帳に登録されているもの」としています。さらに下段にて「この固定遺産税の課税標準額は、地方税法の規定により、原則として固定資産課税台帳に登録された価格によるもの」と回答しています。

上記回答要旨の赤字箇所は、地方税法349条1項の「固定資産税の課税標準は、基準年度に係る賦課期日における価格で固定資産課税台帳に登録されたもの」を指示しているものと考えます。

 他方で、地方税法349条の3の2の住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例規定によれば、住宅用地については「固定資産税の課税標準は、第349条の規定にかかわらず、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1の額とする」旨、規定しており、さらに、2項においては住居用地の面積を住居の数で除して得た面積が200㎡以下(以下、「小規模住宅用地」という)であれば「固定資産税の課税標準は、第349条、前項の規定にかかわらず、当該小規模住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の6分の1の額とする」旨、規定しています。

 また、固定資産税に関する「価格」の意義は地方税法341条5号に規定されており「適正な時価」をいいます。

 以上から考察するに、「価格」の意義と「固定資産税の課税標準」が必ずしも一致していないところ、通達においては「価格」を用いず「固定資産税の課税標準額」により計算することと規定しており、さらには照会回答の要旨において「原則として固定資産課税台帳に登録された価格」としつつも、そのような趣旨を本通達の中から読み取れないことから鑑みると、小規模住宅用地の固定資産税の課税標準については349条の3の2の規定により「価格の6分の1の額」等を採用することまで否定しているものではないとも考えられます。

 何れにしましても、自社所有の建物を社宅として利用する際には、税理士等の専門家に確認するのがよいでしょう。

参照URL 社宅に係る通常の賃貸料の額を計算する場合の固定資産税の課税標準額|国税庁 (nta.go.jp)

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