近年、消費者同士で経済取引をするシェアリングエコノミーや、正社員で働きつつ給与以外の他の収入を得る副業が増えてきています。実際、従業員の副業を認める企業も増えつつあり、今後もそのような企業が増えることが予想されます。
一方、上記の経済活動により得た所得が適正な申告がされていないなどの実態があり問題視がされていました。
そこで国税庁においては、上記に対応するために所得税基本通達を次の通り改正をし、雑所得の範囲の明確化をするとしています。
改正が予定されているのは、所得税基本通達の35-1と35-2で、大まかにまとめると次のようになります。
①譲渡所得に該当しない資産の譲渡による所得を“その他雑所得”とする。
(営利を目的として継続的に行う場合等を除く。)
②営利を目的として継続的に行う資産の譲渡による所得を“業務に係る雑所得”とする。
(事業所得等と認められるものを除く。)
③事業所得と業務に係る雑所得の判定として、主たる所得ではなく、かつ、
その収入が300万円以下である場合には、“業務に係る雑所得”とする。
これにより、副業を事業所得として申告をしている方などは、基本的に雑所得として申告する必要がありそうです。
改正後の所得税基本通達の取扱いは、令和4年分以後の所得税について適用するとされ、来年の確定申告では改正後の通達にて所得の判定をする必要がありそうです。
事業所得か雑所得かの判定に一つの形式基準を設ける必要性は感じてはおりましたが、年の途中で当初の見込みを超えて収入が300万円を超えてしまった場合、青色申告の届出をしていなければ、各種特典がその年の所得には適用ができなかったりするのではないか、などと考えてしまいます。
・意見公募要領
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239211
・新旧対照表
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000239212
y.s