平成30年に【収益認識に関する会計基準】が公表され、令和3年4月1日以降開始する事業年度より原則この基準が適用がされることとなりました。
これに伴い、税法においても平成30年度税制改正が行われました。
企業が発行するポイントについては、今まで特段の定めはされておりませんでしたが、この会計基準の導入によりその会計処理が明確化されました。
収益認識に関する会計基準においては、売上金額に応じた自社発行ポイントの付与は、
【物・サービスの提供】と【ポイントの販売】が組み合わさった取引と考えます。そのため、売上金額を
① 物・サービスの価値
② ポイントの価値
に分ける必要があり、②に該当する部分は【契約負債】として負債計上が必要となります。
①と②の金額の分け方は独立販売価格に基づき行われます。
負債に計上する理由としては、ポイント発行会社側において、将来ポイントの利用によって無償で【物・サービスの提供】をする義務があると考えるためです。
負債計上された契約負債は、ポイントが利用された際に売上高へと振替がされます。
例:10,000円(税抜き)の商品を販売し100ポイントを付与、将来のポイントの使用見込みは100%とする場合
売掛金 10,000 / 売上高 9,901(=10,000×10,000/10,100)
/ 契約負債 99(=10,000×100/10,100)
上記はあくまで会計処理の話になり、税法上は別の処理が求められる場合があります。
≪法人税≫
法人税法においては、法人税基本通達2-1-7の7に自社発行ポイントを付与した場合の取り扱いの記載があります。
通達では、4つの要件の記載があります。
そして、4つの要件全てを満たした場合に、法人税においてもポイント相当額を契約負債として計上することができ、会計と法人税の取扱いを一致させることができます。
なお、法人税基本通達2-1-39の3には、一定期間未使用である契約負債(ポイント)の金額を益金に計上する取扱いがあります。
≪消費税≫
消費税においては、収益認識に関する会計基準の導入によって、法人税のように法改正や通達の新設などはされておりません。
したがって、従来通り実際に対価として受け取った金額が課税資産の譲渡等の対価の額となります。
つまり
≪課税売り上げの金額=ポイント分を考慮しない金額≫
となります。
これにより、会計と法人税の売上金額と消費税の売上金額にズレが生じることとなります。
なお、ポイントの利用で商品の販売がされたときには、消費税の対象外の取引となります。
例:上記例が税込みの場合
売掛金 11,000 / 売上高 9,901
/ 契約負債 99
/ 仮受消費税等 1,000
参考:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/pdf/001.pdf
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/pdf/0605_B.pdf
y.s