少額の減価償却資産については、次のような制度、特例がありますが、令和4年度税制改正により、令和4年4月1日以後に取得等するものから「貸付(主要な事業として行われるものを除く)の用に供した資産」は除外されることとなりました。
制度 | 取得価額 | 償却方法 |
少額の減価償却資産の取得価額の損金算入 | 10万円未満 | 全額 |
一括償却資産の損金算入 | 20万円未満 | 3年間均等償却 |
中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例 | 30万円未満 | 全額(年間300万円限度) |
利益圧縮を目的として、自らが行う事業では使用しない資産等を大量に取得、上記制度を利用した早期の損金算入を行うとともに、その取得した資産を貸付し、次年度以降の賃貸料や売却益等に繰延べる節税スキームへの対応が目的とされています。このスキームではドローン、建設用足場、LED照明などが使用されていました。
このような節税目的ではない、主要な事業として行われるものについては貸付の用に供していても従前どおりの取扱いとなりますが、その基準は法人税法施行規則27の17①で示されています。
・内国法人が当該内国法人との間に特定関係(一の者が法人の事業の経営に参加し、事業を実質的に支配し、又は株式若しくは出資を有する場合における当該一の者と法人との間の関係(以下この号において「当事者間の関係」という。)、一の者との間に当事者間の関係がある法人相互の関係その他これらに準ずる関係をいう。)がある法人の事業の管理及び運営を行う場合における当該法人に対する資産の貸付け
・当該内国法人に対して資産の譲渡又は役務の提供を行う者の当該資産の譲渡又は役務の提供の事業の用に専ら供する資産の貸付け
・継続的に当該内国法人の経営資源(事業の用に供される設備(その貸付けの用に供する資産を除く。)、事業に関する従業者の有する技能又は知識(租税に関するものを除く。)その他これらに準ずるものをいう。)を活用して行い、又は行うことが見込まれる事業としての資産の貸付け
・当該内国法人が行う主要な事業に付随して行う資産の貸付け
なお、資産の貸付け後に譲渡人等がその資産を買い取り、又はその資産を第三者に買い取らせることをあっせんする旨の契約が締結されている場合において、その賃借料と買取対価の合計額が取得価額のおおむね90%超の場合における貸付けは、「主要な事業として行われる貸付け」には該当しないものとされています。
実務上どのような影響がでるか心配していましたが、結局のところ、節税目的のもの以外は影響なしということのようです。
(T. I.)