従業員の立替精算、ビル会社の水光熱費や、各種比率により費用負担をしている場合など、立替払いよる費用の精算は日常的に行われています。
インボイス制度が開始されると当然、立替による請求書もその制度に則ったものでなければなりません。インボイス制度の具体的な記載事項は、次の6つです。
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
立替払いをする際に問題となるのは⑥です。
最初に書類を受取り、支払いをした者と、実際に費用を負担する最終的な支払者とが、異なることが問題となります。
【従業員の立替精算】
従業員が立替精算をする場合、宛名が自社宛である場合は問題ありません。しかし、宛名が従業員本人である場合には、インボイス制度の要件である「⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」の記載がありません。
その場合は、立替精算書でその要件を満たすことにより、当制度の要件を満たすようになります。立替経費精算に最終的に交付を受ける「株式会社〇〇宛」といった記載をすることで問題を解決できます。その際は、当然、受け取った従業員本人宛の領収書等の保管は必要です。
⇒「株式会社〇〇(最終的な支払者)宛」といった記載のある立替精算書 + 領収書等
【会社間等の立替精算】
従業員の立替精算でない場合も、原則は同様です。立替精算書と領収書等のセットでインボイス制度の要件を満たす必要があります。
ただし、ビル管理会社など領収書等のコピーが大量となる場合は、立替精算書の保存をもって要件を満たすことになります。
軽い気持ちで立て替えたけれど、インボイス制度の要件を満たしていない、ということにならないよう、立替精算書などのフォーマットを見直してみるとよいかもしれません。
(ari)