令和4年度の税制改正大綱において、完全子法人株式等の配当に係わる源泉徴収の見直しが示されました。
現況における配当に係わる源泉徴収について
(1)上場株式等の配当等の場合
15.315%(他に地方税5%)の税率により所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されます。
(2)上場株式等以外の配当等の場合
20.42%(地方税なし)の税率により所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されます。
現状の問題点
完全子法人からの配当については、親法人の法人税の算定にあたり、全額を益金不算入とすることが認められていて法人税が課されないにもかかわらず、源泉徴収の対象となっているため、効率性・有効性等を高める検討を行うべきと会計検査院からの指摘がされました。
改正の概要について
一定の内国法人が支払を受ける配当等で次に掲げるものについては、所得税を課さないこととし、その配当等に係る所得税の源泉徴収を行わないこととするほか、これに伴う所要の措置を講ずることとなります。
(1)完全子法人株式等(株式等保有割合100%)に該当する株式等に係る配当等
(2)配当等の支払に係る基準日において、当該内国法人が直接に保有する他の内国法人の株式等(当該内国法人が名義人として保有するものに限る。以下同じ。)の発行済株式等の割合が3分の1超である場合における当該他の内国法人の株式等に係る配当等
適用時期
上記改正は、令和5年(2023年)10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用されます。
完全子法人株式等の配当に係わる源泉徴収が不要になることによって、企業内の資金流出がなくなり、子法人は源泉徴収事務負担がなくなり、親法人は受取配当等に係る源泉所得税相当額の所得税額控除による還付請求手続による事務負担がなくなるので、納税環境の整備が一段と進んだのではないでしょうか。
ビッキー