オリオン税理士法人
その他税目

みなし解散と税務申告


(1) みなし解散

先日、知り合いの会計事務所でお客さんに税務署から「みなし解散に伴う申告をして下さい。」と通知が来たそうです。

最後の登記から12年を経過した株式会社は、法務局が解散したものとみなして解散登記を行います。これをみなし解散といいます。

令和3年10月14日発行の官報に公告され、2か月以内(令和3年12月4日まで)に登記又はまだ事業を廃止していない旨の届出をしていない会社はと解散したものとみなされます。

どうやら税務署は法務局が行ったみなし解散の登記を見ながら解散申告の通知を一斉に出したようです。


(2) 登記上のデメリット

解散登記がなされると、法人登記簿謄本に「解散」と記載され、取締役は自動的に退任となります。

解散した会社は、会社の事業をすることができないため、会社の事業を引き続き行いたい場合は、会社継続登記により、会社を復活させる必要があります。

なお、みなし解散された会社を復活させたい場合には、みなし解散から3年以内に手続きを行う必要があります。3年を経過すると、会社継続登記による会社復活はできなくなります。

また、法務局によりみなし解散された会社は清算会社となり、本来の会社事業が制限されます。

このため、「みなし解散」された会社が、本来の会社事業を行うためには、「会社継続」の登記を申請し、会社を元の状態に復活させなければなりません。


(3) 税務上のデメリット

みなし解散の登記が入れられてしまった事業者は、事業を継続する場合でも一度みなし解散申告をしなければなりません。

法人税の申告は基本的には定款に定める事業年度とされていますが、下記の規定があります。

① 事業年度の中途において解散した場合は、その事業年度開始の日から解散の日までの期間及び解散の日の翌日からその事業年度終了の日

② 事業年度の中途において事業継続(解散あるいは清算の状態から)した場合は、その事業年度から継続の日の前日まで及び継続の日からその事業年度終了の日までの期間

すなわち、みなし解散されてしまうと、事業年度開始の日からみなし解散された日までの申告及びみなし解散日から事業年度終了日までの申告と年に2回の申告を行う必要があります。


みなし解散の登記をされてしまうと膨大な時間と手間がかかる上、法務上の手続きにだらしない会社という烙印を押されてしまいますので事業者の皆様は十分にお気を付け下さい。


(HIPON)

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