国税庁HPで、令和2事務年度における法人税等の調査事績の概要 がアップされています。
法人税・消費税の実地調査の調査件数は25千件(前年対比▲51千件)、申告漏れ所得金額は5,286億円(同▲2,516億円)、追徴税額は1,936億円(同▲431億円)となっています。
新型コロナウイルスの影響で調査件数は減少していますが、1件当たりの追徴税額は7,806万円と前年の3,135万円から大きく増加しています。
主要な取組として別掲されているのは、昨年同様、
「消費税還付申告法人に対する取組」、「海外取引法人等に対する取組」、「無申告法人に対する取組」となっています。
「消費税還付申告法人に対する取組」では、消費税219億円の追徴課税となっており、そのうち不正還付分が34億円。
架空の国内仕入(課税取引)及び架空の輸出売上(免税取引)の計上が、主な不正の手口として記載されています。
「海外取引法人等に対する取組」では、海外取引に係る申告漏れ所得として1,530億円を把握し、また、海外取引に係る源泉徴収漏れとして14億円を追徴しています。
主な調査事例として、以下が挙げられています。
・外国子会社に係る外国子会社合算税制の適用誤り、
・海外のリベート費用について関係者への貸付金に仮装し、貸倒損失を計上、
・投資資金等について、海外送金依頼書を虚偽記載することにより費用に仮装
・非居住者に支払った給与等に係る源泉徴収漏れ
・非居住者に支払った不動産譲渡に係る源泉徴収漏れ
「無申告法人に対する取組」においては、162億円を追徴し、うち不正計算があった法人に係る追徴税額は95億円となっています。
主な調査事例として、以下が挙げられています。
・接待を伴う飲食店における多額の収入について、売上に係る書類を破棄することで取引を隠蔽
・不動産コンサルタント業務で得た収入について、領収証等を破棄することで取引を隠蔽
そのほかの統計資料として、
不正発見割合の高い10業種のベスト3は、例年同様飲食店が高いのですが、3位の「美容」は昨年の10位から大幅アップです。
1.バー・クラブ 2.外国料理 3.美容
また、不正1件当たりの不正所得金額の大きな10業種のベスト3は、調査の結果、次のようになっています。
1.自動車・同付属品製造 2.その他の不動産 3.貿易
そのほか、公益法人等の調査事績についても統計資料があります。
調査事績の概要は毎年公表されるものですが、税務調査の動向を把握するためにも有用です。
興味のある方は目を通してみてはいかがでしょうか。
(T. I.)