オリオン税理士法人
法人税

適格現物出資の消費税の取り扱い


1.消費税の取り扱い
 ①適格現物出資は消費税の課税対象
  「金銭以外の資産の出資(特別の法律に基づく承継に係るものを除く。)」とあり、課税資産の譲渡等に該当します。
  (消費税法施行令2条1項2号)

 ②課税標準額
  「金銭以外の資産の出資により取得する株式(出資を含む)の取得の時における価額に相当する金額」とあり、現物出資
   により取得する株式の時価が課税標準となります。
   また、その時価評価額につき、課税資産の譲渡の対価の額と非課税資産の譲渡の対価の額とに合理的に区分されて
   いない場合には、当該評価額に課税資産及び非課税資産の時価相当額の合計額のうちに課税資産の時価相当額の
   占める割合を乗じて計算します。
  (消費税法施行令45条2項3号) 

2.株式の取得価額及び増加資本金等の額
 ①株式の取得価額及び増加資本金等の額
  法人税法上、現物出資法人が適格現物出資によって取得した子会社株式の取得価額は移転資産の簿価純資産額となります。
  (法人税法施行令119条1項7号)

3.処理方法
 例)現物出資法人P社の移転資産(時価2,200 簿価1,800)※すべて課税資産とする
   現物出資法人P社の移転負債(時価1,200 簿価1,200)
   被現物出資法人S社の交付株式 時価評価額1,000

 ・株式の取得価額及び増加資本金等の額
  それぞれ600となります。(資産簿価1,800-負債簿価1,200=簿価純資産600)

 ・消費税課税標準額
  1,000(被現物出資法人の交付株式の時価評価額)

 ・消費税等の額
  1,000×10%=100

 ・仕訳(双方課税事業者の場合)
  ①現物出資法人P社
   S社株式 600 / 資産・負債  600
   雑損失  100 / 仮受消費税等 100

  ②被現物出資法人S社
   資産・負債  600 / 資本金等の額 600
   仮払消費税等 100 / 雑収入    100

  移転する資産・負債は簿価純資産価額であるはずが、上記のとおり時価が消費税課税標準となり消費税等相当額だけ
  損益が生じます。これは適格現物出資固有の処理となります。

  被現物出資法人の仕入税額控除が生じますが、交付するのは株式のみであり現金交付はできません。
  また現物出資法人で負担する消費税額は、株式取得の不随費用に該当しないため、資本金等の額に組み入れる事が
  できません。
  
  よって上記の処理になると思われます。

 (小林)

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