(1) はじめに
令和2年分の確定申告では、新型コロナウイルス感染症対策で様々な特例が設けられています。
今回はイベントがコロナウイルスの影響で中止になった場合のチケット代金の寄附金控除の特例についてご説明します。
(2) 概要
令和2年2月1日から令和3年1月31日の間に開催予定であったイベント(文部科学大臣の指定行事)が新型コロナの影響で中止となり、一定期間内にそのチケット代金の払戻しを受けなかった場合には、そのチケット代金相当額分の寄附を行ったものとみなして寄附金控除が受けられるという制度です。
本控除は、納税者が払戻請求権の放棄を申請した後に主催者等から交付される以下の書類を確定申告書に添付することが要件とされています。
① 指定行事認定証明書の写し
② 払戻請求権放棄証明書
(3) 書類の添付要件
電子申告の場合、証明書がデータで交付されていれば、②のxmlデータに①の内容も組み込まれているため、②を電子申告するだけで両方の証明書を提出したことになります。
証明書を紙で受け取った場合には5年間の保存ですが、e-Taxに①と②の記載内容を入力して送信することで、証明書の添付省略が可能になります。
一方、書面で申告する場合、①はデータを印刷して使用できますが、②は原本が必要なため、データを直接使用することはできません。e-Taxホームページの専用システムでxmlデータから作成したQRコード付控除証明書を添付して申告する必要があります。
(4) おわりに
適用要件を調べると、社会不安の中で主催者のために寄付をされた方々がもう少し申告しやすいように簡略化できないものかと思うところですが、簡単に申告できてしまうと、返金を受けつつ、寄付金控除の申請も行う不届きな輩が出かねません。
我々税理士も特にソフト面で漏れのない申告ができるようしっかり対策が必要です。
(Hipon)