オリオン税理士法人
法人税

居住用賃貸建物を関連会社間で取引した場合


令和2年度の税制改正により、居住用賃貸建物の取得に係る消費税が仕入税額控除の適用から除外される改正が行われました。
また、販売目的で居住用賃貸建物を取得し、取得後一定期間(※)内に売却した場合は、売却した課税期間の仕入税額控除に一定の加算調整がされることとなりました。
これにより改正前よりも多くの仕入税額控除ができるようになるケースもでてきそうです。(下記例参照)

※一定期間:居住用賃貸建物の仕入れ日属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間

例 A社、12月決算法人、X1年3月に居住用賃貸建物を5,000万円(税抜)で取得し、X3年2月に6,000万円(税抜)で売却
  毎期の課税売上割合70%、家賃収入3年間合計1,500万

①改正後、X3年に加算される消費税額
  a.課税譲渡等割合
    6,000万円÷(6,000万円+1,500万)=0.8
  b.調整税額
    5,000万×0.1=500万
500万×0.8=400万

②改正前、購入時の消費税額
  500万×0.7=350万

ですが、改正による消費税の加算調整は、取得後から一定の期間内に譲渡を行わなければ適用することができません。
そのため、上記例①ですとX4年に譲渡をした場合は加算する消費税額は0円となってしまいます。
そこで、販売目的で取得したけれどなかなか売れないといった場合は、関連会社に売却することで加算調整を受ける考えが出てくるかと思われます。
上記例において、A社が不動産販売事業を、関連会社B社が不動産管理事業をしている場合は、管理をメインとしているB社に売却することで、
A社は消費税の加算調整を受けることができるのではないでしょうか。

一方、関連会社に売却した際は下記事項を留意する必要があると思われます。
1.不動産購入した事業者は高額特定資産の取得に該当する可能性があります。
2.資本関係によっては、A社とB社の取引にはグループ法人税制が適用される可能性があります。
(棚卸資産から固定資産へと変更している場合)
3.取引に経済的合理性が認められませんと行為計算否認が適用される可能性があります。

消費税だけでなく、法人税も考慮して実行する必要がありますね。

y.s

お使いのブラウザーはこのサイトの表示に対応していません。より安全な最新のブラウザーをご利用ください。