現在日本国内では少子化による人口減少、新築信仰などにより住宅総数に対して空き家が13.55%の割合で存在すると言われており、「住宅余り」の状況となっています。
地方での空き家が増加し、景観が損なわれたり、衛生面、防犯面の問題を引き起こしたりする恐れがあるとして平成27年には空き家の所有者に対して管理指導をすることができる特別措置法が制定されたりもしました。
国も中古住宅の流通を後押しするために平成29年に安心R住宅という制度を創設しました。
加えて現在は官民で残価設定型住宅ローンの開発を検討しているようです。
①特徴
・車の残価設定ローンと同様に、住宅の残価を保証する。
・残価以外の住宅価格に住宅ローンを適用する。
・住宅ローン終了後に、住宅を一括買取か、返却か、更に制度を利用して別の住宅に住み替えるかを選択。
・対象は新耐震基準かつ築15年以下の戸建て住宅
・長期優良住宅と同様に年1度の訪問検査がある。
・資産価値維持のためのメンテナンスが必要。
②メリット
・残価保証された住宅以外にローンが設定されるため、住宅ローンの借入額が少なくなり、従来より返済額が減る。
・頭金が不要、または少額で済む。
③デメリット
・買取の場合フルローンより金利負担が増える可能性がある。
・ローン返済の途中での売却や、住宅メンテナンスが不十分の場合には残価保証額が減額される可能性がある。
この制度ついてはまだ検討段階であり、様々な課題があると思います。
メリット・デメリットについては車の残価設定型住宅ローンと同様となると思われます。金利負担のデメリットは参入企業が増えれば解消するかもしれません。
また資産価値のある不動産に対してのみ設定されると考えらるので、人口減少社会においては都市部と地方の格差が更に大きくなるかもしれません。
住宅のように長期で使用するものは基本的に残価設定が難しく、また利用者も住宅を住み替える予定のある若い世代などが主となると考えられ、さらに従来よりも住宅メンテナンス費用がかかると予想されるため、仮に利用可能となった場合には慎重に検討する必要があります。
流通量から見ると戸建てよりもマンションの方が向いている気がしますが、今後どのようになるのか注目です。
国も中古住宅の流通を後押しするならば、長期優良住宅に適用されているようなメンテナンス費用の助成、税制面での優遇措置などの適用も視野に入れてほしいところですね。
(小林)