新型コロナウイルス感染症の影響に伴う資金需要に対応するため、日本政策金融公庫をはじめ多くの金融機関等で
融資制度が行われ、多くの事業者がこの融資制度を利用されているかと思います。
今回は、関与する企業様でも新型コロナウイルス感染症特別貸付に係る利子補給金の入金がありましたので、
その利子補給金の取扱いについて取り上げております。
特別利子補給制度とは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者が、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫等が実施する新型コロナウイルス感染症特別貸付等を利用して借入を行い、一定の要件を満たす事業者に対し、貸付を受けた日から最長3年間にあたる利子相当額を一括して助成することにより、実質的な無利子化を実現する制度であります。
適用対象事業者
利子補給金により実質無利子となる対象となるための要件は以下の通りです。
① 個人事業主
要件なし
② 小規模事業者
売上高15%減少
③ 中小企業者(①・②を除く)
売上高20%減少
なお、小規模事業者は個人・法人関係なく、業種と従業員数で決まります。
小規模事業者とは、
製造業その他 従業員20人以下
商業・サービス業 従業員 5人以下
中小企業者とは、小規模事業者以外の中小企業となります。
収益計上時期について
「法人税の所得金額の計算上、ある収入の収益計上時期については、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度となります(法人税法22条)
通常の利子補給金の収益計上時期についても、原則として、交付決定日の属する事業年度となります。
しかし、今回の特別利子補給制度は、日本政策金融公庫等の一定の金融機関から融資を受けることを条件に、
その融資により発生する支払利子を、最長3年間、実質的に無利子とすることを目的として交付されるものです。
そのため、この特別利子補給制度は、融資契約の変更等により利子相当額が変動した場合には、3年経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することとされています。したがって、特別利子補給制度においては、交付決定日には利子補給額が確定していないことから、利子補給額に係る収入を受ける権利は確定していないと考えられます。
加えて、3年経過後の実際に支払った利子相当額と利子補給額の精算の手続は金融機関において行うこととされており、法人において実績報告などの手続はありませんので、通常の補助金とは手続き面でも異なる仕組みとなっています。
このようなことから、この特別利子補給制度については、事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、
交付を受けた時点では収益として確定せず、支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収益が確定し、
無利子化される性質のものと考えられますので、その支払利子(費用)の発生に応じて、その発生する支払利子と同額の収益を計上することとなります。
なお、この場合の会計処理については、交付を受けた利子補給金の額を、一旦前受金等として負債の部に計上し、支払利子の費用処理に合わせて、その支払利子相当額を前受金等から利子補給金収入等の収益の部に振り替えることとなります。税務上の取扱いも同様です。」
11/1 入金時 現預金 200 前受金 200
12/1 利子支払 支払利息 100 現預金 100
前受金 100 雑収入 100
2/1 利子支払 支払利息 100 現預金 100
前受金 100 雑収入 100
融資制度を利用されていて、上記の要件を満たしているけど利子補給の申請がまだの事業者の方、
利子補給は、申請しないと適用されませんのでご注意を。
申請を忘れずに行いましょう!
〔参考]
国税庁「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」
ビッキー