(1) はじめに
現在、国内の事業者が登録国外事業者から提供を受けた消費者向けの電気通信利用役務の提供は仕入税額控除が認められています。令和5年10月のインボイス制度の導入に伴い、この登録国外事業者制度は廃止されることとなりました。
インボイス制度の導入以降、国外事業者から提供を受けた消費者向けの電気通信利用役務の提供は、他の課税仕入れと同じく、国外事業者(インボイス発行事業者に限られます。)が交付するインボイスの保存が仕入税額控除の要件となります。
(2) 現行の制度
国外事業者が行う電気通信利用役務の提供のうち、役務の性質や取引条件等から役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるもの以外のものは、消費者向け取引として扱われます。
国内事業者が、国外事業者から消費者向け電気通信利用役務の提供を受けた場合、原則は仕入税額控除を受けられませんが、役務の提供を行った国外事業者が登録国外事業者である場合には、仕入税額控除が認められています。
仕入税額控除の要件として、役務の提供を行った登録国外事業者の名称や登録番号等が記載された帳簿及び請求書等を保存する必要があります。
(3) インボイス制度への移行
令和5年10月のインボイス制度導入に伴い、登録国外事業者制度はインボイス制度に吸収されることになりました。
現行の制度は日本の消費税制度に課税事業者番号制度がないことを前提としたものであり、インボイス制度の導入により新たな番号制度への移行がなされ、現行の制度は廃止となります。
令和5年9月1日に登録国外事業者である者は、原則として令和5年10月1日に適格請求書発行事業者の登録を受けたものとみなして、インボイス制度の登録事業者として扱われます。
(4) 現行制度からの変更点
インボイス制度導入後、消費者向けの電気通信利用役務の提供は、国内の事業者間の取引と同様に課税仕入れとして取り扱われ、国外事業者にもインボイス制度に基づく請求書等の交付義務が課されます。
役務の提供を受けた国内事業者は、役務の提供を行った国外事業者の登録番号を帳簿に記載する必要がなくなり、他の課税仕入れと同様、インボイスの保存及び帳簿に一定の項目を記載することで仕入税額控除が受けられます。
(HIPON)