確定拠出年金とは、企業や加入者が毎月一定額の掛金を拠出する年金制度をいいます。
この内、毎月一定額の掛金を個人が拠出する制度が個人型確定拠出年金(iDeCo)といい、企業が拠出し、加入者が運用する制度を企業型確定拠出年金といいます。拠出者が個人か企業かの違いはありますが、掛金を運用するのは個人という点はiDeCoと同様です。
企業が拠出した掛金は企業の経費(損金)になります。企業は従業員の給与の一部を確定拠出年金に置き換えることも可能です。この場合、企業は人件費の総額が変わらない一方、従業員は給与の額面額が下がるため、社会保険料や所得税を減額させる効果があります。給与の一部が掛金に充てられるため手取額は減りますが、老後資金で毎月一定額を貯金したい方には恩恵が大きい制度と言えます。
一見メリットが多い制度のように見えますがデメリットや気を付けるべき点もあります。
❶ 将来受け取れる老齢厚生年金が減額する
社会保険料の等級が下がるため、相対的に所来受け取れる年金も減額します。そのため、拠出された掛金をそのまま放置せず、老齢厚生年金と同程度の運用を目指した方がよいかもしれません。
➋ 役員が加入する場合はタイミングに注意
企業が拠出する掛金は退職費用扱いとなるため、期中でこの制度を導入すると定期同額給与の要件を満たさなくなり、役員報酬の一部が損金不算入になります。そのため、期首から3か月以内に制度を開始することをお勧めします。
➌ 掛金は賃上げ促進税制の雇用者給与等支給額にならない
➋と同様企業の拠出した掛金は退職費用扱いとなるため、賃上げ促進税制の指すところの雇用者給与等支給額には当たりません。そのため、昇給してもその昇給額を全額掛金に充てた場合には、その年度は賃上げ促進税制が適用できない可能性が高くなりますので計画的な導入が必要となります。
(HIPON)