(1) はじめに
現在わが国では2050年までのカーボンニュートラルの実現に向け、環境性能に優れたクリーンエネルギー自動車の普及を促進しています。早期に電気自動車や燃料電池自動車等の需要創出や車両価格の低減を促すことを目的としてEVに対して補助金が交付されており、2024年度の国のEV補助金は85万円を上限に交付されます。他に地方自治体からも補助金が交付されるところも多いようです。
法人や個人事業主の場合、収入=益金・所得(課税の対象)と発想できますが、実は個人がご家庭でEVを購入し、補助金を受け取った場合にも課税の対象となります。
(2) 個人消費者に対して課される税金
個人消費者が補助金を受け取った場合、その収入は一時所得となります。
一時所得は(収入金額-特別控除(50万円))×1/2という計算式により算出され、20万円以下は申告不要となります。
この計算式に当てはめると(85万円-50万円)×1/2=17.5万円<20万円となり、国からの補助金しか交付を受けていない場合には申告が不要です。
ただし、地方自治体から補助金を受け取った場合やふるさと納税の返礼品を受け取っている場合にはそれらを合算して計算する必要があるので注意が必要です。
(3) 国庫補助金の所得税減免制度
補助金を受け取った場合でも、確定申告書の提出時に『国庫補助金等の総収入金額不算入に関する明細書』を添付することにより、本補助金を総収入金額から除外することができます。
なお、本明細書は期限後申告時には適用することができますが、修正申告や更正の請求での適用は認められないので注意が必要です。
また、国庫補助金等が総所得金額から除外されるのは国税のみで住民税は本制度の適用がないため、住民税の確定申告は必要になります。どのみち申告をする必要があるのであれば、確定申告時に明細書を添付して申告した方がよいでしょう。
(4) おわりに
税金から補助金が交付され、その補助金に対してまた税金が課されるというのは感覚的には理解し難いところではありますが、所得税減免制度を活用して無駄な出費を抑えたいところです。
(HIPON)