オリオン税理士法人
法人税

医療法人等に設けられている税制上の特例


医療法人とは、病院、医師もしくは歯科医師が常時勤務する診療所又は介護老人保健施設を
開設することを目的として、医療法の規定に基づき設立される法人です。

一方、株式会社とは、株式を発行して集めたお金で経営を行っていく会社です。
では、医療法人の税制上の優遇はどのようなものがあるでしょうか。

1.社会保険診療報酬の所得計算の特例があります。
下記の2要件を満たす場合には、社会保険診療報酬に係る費用を、実際かかった経費ではなく、
収入金額に応じて一定の割合により計算した概算経費を控除して計算することができます。

①社会保険診療報酬が5,000万円以下であること
②自由診療を含めた総収入総額が7,000万円以下であること

なお、総収入金額には下記は含まないものとされている。
・国庫補助金、補償金、保険金その他これらに準ずるものの収入金額
・固定資産又は有価証券の譲渡に係る収益の額
・受取配当金、受取利子、固定資産の賃貸料等営業外収益の額
・貸与寝具、貸与テレビ、洗濯代等の収入金額
・医薬品の仕入れ割戻しの金額
・電話使用料、自動販売機等の手数料に係る収入金額
・マスク、歯ブラシ等の物品販売収入の額

社会保険診療報酬                 概査経費率の速算表
2,500万円以下             社会保険診療報酬× 72%
2,500万円超3,000万円以下  社会保険診療報酬× 70% + 50万円
3,000万円超4,000万円以下   社会保険診療報酬× 62% + 290万円
4,000万円超5,000万円以下   社会保険診療報酬× 57% + 490万円

2.高額な医療機器等の設備投資に対する特別償却があります。
下記の要件を満たす場合には、取得価格の12%を特別償却することができます。
適用期限が令和5年4月1日から2年間延長されました。

①取得価格 500 万円以上の高額な医療用機器
②高度な医療の提供に資するもの又は医薬品医療機器等法に規定する高度管理医療機器管理医療機器、一般医療機器のうち厚生労働省の指定を受けてから2年以内のもの

3.特定医療法人の軽減税率があります。
特定医療法人とは、租税特別措置法に基づき、財団又は持分の定めのない社団の医療法人であって、
その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運営されていることにつき国税庁長官の承認を受けたものを言います。

適用する場合には、一定の承認基準を満たし、国税庁長官の承認を受ける必要があります。

特定医療法人の承認がおりた場合、法人税率が23.2%から19%に軽減されます。
なお、課税所得が800万円以下については、15%のままです。
給与報酬に上限が設けられる、毎事業年度ごとに税務署へ報告などデメリットもあるので注意が必要です。

4. 中小企業投資促進税制があります。
中小企業における生産性向上等を図るため、一定の設備投資を行った場合に、税額控除7%又は特別償却30%の適用を認める措置です。

医療法人等は適用できる範囲が狭く、電子カルテやレセコンなどがあげられます。
一定のソフトウェア(一のソフトウェアが70万円以上、複数合計70万円以上)

5. 事業税
医療法人等の事業税については、法人税の課税標準である所得の計算を用いず、社会保険診療について支払いを受けた金額は益金の額に算入せず、また、経費は損金の額に算入しないこととされています。ですので、医療法人等に係る所得金額の計算書により課税標準となる所得金額の算定を行った上で事業税を計算することとなります。

課税基礎所得等×社会保険診療収入の金額/医療保険業の総収入金額で算出した部分が非課税となります。医療保険業の総収入金額のうち社会保険診療収入の割合が大きければ、事業税は少なくなります。    なお、営業権の譲渡、贈与、寄付金、受贈益及び寄贈等の収入がある場合、軽微なものを除き、土地譲渡益等と同様の取扱いとなり別計算となり、事業税の課税対象外として取り扱われます。

医療法人等は、株式会社とは異なった税制上の特例があるので注意しましょう!

ビッキー

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