(1) はじめに
令和6年分の所得税の納税者である居住者で、所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの者は給与収入が2,000万円以下(こども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用を受ける者は2,015万円以下))である者については所得税額の特別控除(定額減税)が行われます。
この定額減税は準確定申告(「年の中途で死亡した場合の確定申告」又は「年の中途で出国をする場合の確定申告」)時にも適用できますので、今回はその方法についてご説明いたします。
(2) 令和6年6月1日以後に準確定申告書を提出する場合
令和6年6月1日以後に令和6年分の準確定申告書を提出する場合は、準確定申告時に定額減税の適用を受けることができます。令和6年分の準確定申告は、令和5年分の確定申告書の様式を用いて、下記の通り記載して申告します。
① 書面申告の場合
申告書第一表の「災害減免額」欄の項目名を抹消し、当該項目名の欄の余白に「令和6年分特別税額控除額」と記載した上で、同欄の金額欄に定額減税額を記載します。
この場合、当該欄の下欄の「再差引所得税額(基準所得税額)」欄は、「差引所得税額」欄に記載した金額から定額減税額を差し引いた残額(0円以下の場合には、0円)を記載します。
災害減免額の記載が必要な方は、「災害減免額」欄の項目名を抹消することなく、当該項目名の下に「令和6年分特別税額控除額」と記載した上で、同欄の金額欄を二段書きとし、その上部に災害減免額を下部に定額減税額を記載します。
② e-Tax ソフトの場合
申告書第一表の「災害減免額」欄に定額減税額を入力します。
なお、災害減免額も入力する必要がある場合は、定額減税額と災害減免額を合わせた金額を入力します。
また、申告書等送信票(兼送付書)の「特記事項」欄に「令和6年分特別税額控除額●●●円」(災害減免額もある場合は、「災害減免額●●●円、令和6年分特別税額控除額●●●円」)と入力します。
(3) 令和6年5月31日以前に準確定申告書を提出した場合
定額減税は令和6年6月1日以後に提出する令和6年分の確定申告書に適用されるため、令和6年5月31日以前に提出する準確定申告書には適用できません。
一方、令和6年5月31日以前に準確定申告書を提出した方も定額減税自体は受けることができますので、令和11年6月1日までに更正の請求を行うことにより定額減税の還付を受けることができます。
なお、令和6年5月31日以前に法定申告期限が到来しない場合には、準確定申告の法定申告期限内に訂正申告書を提出することにより定額減税を適用することができます。
(4) おわりに
令和6年5月31日以前に準確定申告書を提出された方は手続きが面倒ですが、少なからず税金が戻ってきますので更正の請求のご活用を是非ご検討下さい。
なお、住民税は前年の所得を基に課税されるため、定額減税を適用して準確定申告を行ったとしても住民税の減税はございません。
(HIPON)