相続人等が相続により取得した財産を国等に寄附した場合(所謂ふるさと納税)の取扱いは下記の通りです。
・取扱い
①相続税
ふるさと納税により寄附した額は相続人等が取得した財産から除外され、課税価格に算入しないことになります。(措法70①)
そのため相続税申告書第11表にはその寄附した額および寄附に係る財産額を記載せず、第14表の3(1)に〇をつけ、その支出について詳細を記載します。
②所得税および住民税
その寄附をした相続人等につき寄附金控除の適用があります。
そのためその寄附をした年の所得を基に控除税額の計算をします。
また寄附金受領証明書を相続税申告書に添付するため、所得税確定申告書に添付するものは写しで良いと思われます。
・適用要件
①相続税の申告期限までに遺産分割が完了し、かつ寄附金を支出している
②相続税の申告期限までに申告を行い、寄附金受領証明書を添付している
・留意点
①遺言による寄附ではなく相続人の意思による寄附であること
②相続財産が現金預金以外であった場合、それを換価処分して寄附を行った場合は措法70①の適用はなく相続税の課税価格の計算に算入される(寄附金控除の適用は可)
③寄附金の額が高額となる場合、受け取った返礼品につき一時所得の対象となる可能性がある
また国や自治体のみならず特定公益増進法人や認定特定NPO法人に対する寄附も上記の対象となります。
寄附により相続財産が減少し相続人等全員の納税額も減少させることができるため一考の余地はありますが、短い申告期限までの時間で試算等も考えると非常にタイトスケジュールとなるため注意が必要です。
(小林)