本採用までに一定期間を設けて人材を見極める「試用期間」を導入されている企業は多いと思います。
試用期間は企業側・求職者側のミスマッチを回避し、人材の定着にもつながりやすくなることがメリットです。
反面、明らかに自社にマッチしない人を試用期間中だからと
安易に採用してかまわないものではありません。
自社に合わなければ試用期間後に解雇すればいいと安易に導入すると
トラブルが発生するリスクがあります。
▼試用期間を設定するポイント
①期間
試用期間の長さに法的な定めはありませんが、あまりにも長いとせっかく雇い入れた人材が
長期間不安定な状態のままであれば転職しようと考えてしまうリスクがあります。
最大でも1年以内、一般的には3ヶ月以内としている場合が多いようです。
②雇用形態
試用期間中であっても雇用契約は成立しています。
正社員の契約と同様に雇用契約書を取り交わして行います。
また、試用期間中と後では雇用形態が変化しません。
もしも、「一定期間は有期雇用契約とし、その後、正社員雇用を行いたい」場合は
雇用形態が変わる際に再度、雇用契約書の取り交わしが必要です。
③給与
試用期間だからといって無給は違法です。ただし、本採用時よりも低く設定できます。
その際は最低賃金以上の設定をしなければなりません。
また、使用期間中であっても雇用契約を交わした労働者であることに変わりはないため
残業や深夜残業があれば必要な手当を支払う必要があります。
④各種保険(社会保険・労働保険)
使用期間中だからといって扱いが変わるわけではありません。
加入要件を満たす場合は必ず加入させる必要があります。
▼試用期間における解雇
試用期間中、正当な理由なく従業員を解雇することは原則としてできません。
本採用後の解雇よりも許容範囲は広く企業側の自由が認められるとしつつも
客観的に見て合理的であり、社会通念上相当であると認められる理由が解雇には必要となります。
理由としては、次のようなものが挙げられます。
・勤怠実績が芳しくない場合
・心身の健康状態に問題があり業務遂行に困難が生じる場合
・経歴やスキルが採用選考で確認したものと相違があり、業務に差し障る場合
・適正や能力が実務にマッチしない場合
基本的に30日前までの予告が必要です。
また、解雇日の30日前を満たさない予告は「解雇予告手当」を支払う義務が発生します。
*30日分以上の平均賃金
通知方法としては、解雇日や解雇通知を行った事実を証明する通知書を作成することが望ましいです。
通知方法に法的な定めはなく口頭でも可能ですが
トラブル発生を防止するために通知書の作成をしましょう。
t.w