高層マンションを利用した相続税対策が問題視され、マンションの評価額が見直されることとなりました。
「居住用の区分所有財産の評価について(いわゆるマンション通達)」では評価の対象が区分所有登記された建物に限られます。
国税庁
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hyoka/231004/index.htm
ここで、マンション一棟の各部屋を区分所有登記しその全てを所有している人が、相続開始前に区分所有でない建物に変更登記しその後相続が発生した場合、この通達による評価を回避できるのかという疑問が生じます。
参考となるのは被相続人の居住用財産を売ったときの特例(空き家特例:譲渡所得)で、その適用可否判定につき、区分所有登記されている建物は特例の適用の対象外となります。(措法35④)
また措置法通達35-11では、「何ら構造上変更がないにもかかわらず、被相続人の居住用財産の特別控除の特例の適用を受けることのみの目的で相続開始前に区分所有建物から区分所有でない建物に変更登記したとしても、一棟の建物に構造上区分された部分で独立して住居等の用途に供することができるものであることは明らかであることから、この変更登記した建物について被相続人の居住用財産の特別控除の特例の適用がないことはいうまでもない。」とされています。
そのため、理由如何を問わず上記通達に当てはまる場合には、マンション通達においても同様に取り扱われるものと思われます。
よって、今後は相続税の申告の際に、区分所有でない建物に変更登記しているマンションがある場合は注意が必要になります。
(小林)