先日、発表された総合経済対策のなかで、成長力につながる国内投資促進に関して
イノベーションボックス税制の導入が決定されました。
イノベーションボックス税制とは、企業が特許や著作権などの知的財産を活用した利益に対して
低税率を適用する税制のことを指します。イノベーションボックス税制によって
企業の研究開発活動を促進し、新しい製品やサービスの創出を奨励することが期待されます。
また、研究開発拠点としての立地競争力の向上にもつながります。
欧米を中心に多くの国で導入されており、フランスが最も早く2001年に導入しています。
アジアではシンガポールが2018年に導入しオーストラリアでも現在検討中です。
例えばイギリスでは、法人税率が25%であるのに対して、知財関連収入に対しては10%の税率で済みます。
①対象となる知的財産の範囲
・特許権
・著作権で保護されたソフトウエア
*適用対象として有望なもの(AI、半導体、蓄電池、電気自動車、医薬品)
②対象となる所得の範囲
・対象知財のライセンス取得
・対象知財の譲渡所得
・対象知財を組み込んだ製品の売却益
③適格支出の条件
・対象とする知財を生み出すための研究開発は国内で自ら行うことが原則
*OECD(経済協力開発機構)・BEPS(税源浸食と利益移転)ルール:2015年
イノベーションボックス税制の大まかな枠組みを示したもので、企業が国内で自ら研究開発を行うことで取得した知的財産から生じる所得のみを、イノベーションボックス税制の対象としなければならない。
なお、実務が複雑になりすぎないよう、対象となる所得を第三者などが事前に確認する制度や、中小企業には簡便な措置として負担を軽減することも盛り込まれています。
該当する企業はあらためて、自社製品の保護について検討し、不十分な場合は特許等による保護を図ることが必要になります。
t.w