(1) はじめに
最近、YouTubeなどで「旅費規程さえ作ればいくらでも支給可能」と言わんばかりに過激に煽る動画があるためか旅費規程に関するお問い合わせが増えています。
法人税法や消費税法では「その旅行に通常必要であると認められる部分のみ」が損金として認めらます。
何をもって「通常必要」かは難しいですが、他社がどの程度支給しているのかを知ることは旅費規程を作る上での参考になりますし、税務調査の反論材料にもなりますので、今回は調査結果からみた適正額はどの位かを考えたいと思います。
(2) 調査結果
本記事は産労総合研究所の「2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査」を参考にしています。任意に抽出した3,000社の中から回答のあった171社について集計したとのことなので、母数は少し少ないですが十分参考にはなると思います。
2019年度 国内・海外出張旅費に関する調査 | 国内・海外出張旅費に関する調査 | 社内制度・福利厚生等 | 産労総合研究所 (e-sanro.net)
調査結果によると、日当を支給している企業の平均支給額(全地域一律)は、社長4,598円、専務3,934円、常務3,968円、取締役3,802円、部長クラス2,900円、課長クラス2,711円、係長クラス2,458円、一般社員2,355円でした。
また、宿泊費を支給している企業の平均支給額(全地域一律)は、社長14,095円、専務12,568円、常務12,722円、取締役11,838円、部長クラス9,835円、課長クラス9,345円、係長クラス8,836円、一般社員8,605円でした。
(3) 私見
上記調査結果はあくまでも平均支給額であることや、近年の物価上昇を加味すると、調査結果よりも20~30%多い程度であれば十分に適正額といえるのではないかと考えます。
一方、2倍以上乖離している場合には、金額の根拠を説明できる準備をしておかないと税務調査で否認される可能性があるのではないかと考えます。
なお、本内容は調査結果に基づく筆者の私見です。
会社の規模や財務状況、勤務先からの距離・移動時間、職務内容、景気変動によって適正額は変わりますので、旅費規程を作られる際には個別に顧問税理士にご相談下さい。
(HIPON)