SNSの普及により、企業がインフルエンサーに対して自社商品を提供し
インフルエンサーは使用した感想等をSNSで発信し
その対価として報酬を受け取る事例が多くなっています。
上記のインフルエンサーのSNS投稿に対する報酬について
源泉徴収の対象に該当するか否か確認してみました。
>源泉徴収の対象となるもの<
①原稿料、講演料、デザインに対する報酬など
②弁護士、公認会計士等に支払う報酬・料金
③社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
④プロ野球選手、外交員、モデルなどに支払う報酬・料金
⑤デレビやラジオ等の出演料等の報酬・料金
⑥芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
⑦ホステス等に支払う報酬・料金
⑧広告宣伝のための賞金
⑨馬主に支払う競馬の賞金
⑩役務提供を約することにより一時に支払う契約金
▼「原稿料」に該当するのか?
源泉徴収の対象となる原稿料とは
通常、執筆者から出版社等に寄稿された原稿への対価として支払われるもので
その原稿内容は出版社等が書籍等として販売するものを想定しています。
一方、インフルエンサーへの報酬はSNSに投稿することへの対価であり
企業へ文章等を提出するものではありません。
つまり、源泉徴収の対象となる原稿料は、報酬の支払者が文章等を受領して使用した対価であるため
インフルエンサーへの報酬は該当しないこととなります。
▼「広告宣伝のための賞金」に該当するのか?
源泉徴収の対象となる広告宣伝のための賞金とは
企業が事業の広告宣伝のために賞として直接支払う金品その他の経済上の利益のことをいいます。
源泉徴収の対象となるのは賞として支払われる賞金品に限定されているのに対し
インフルエンサーへの報酬は広告宣伝のためと言えるものの
賞として支払われる性質でないと考えられます。
したがって、インフルエンサーへの報酬は、賞金品の性質を有しないため
源泉徴収の対象となる広告宣伝のための賞金に該当しないこととなります。
▼「モデルに対する報酬」に該当するのか?
インフルエンサーへ依頼する発信内容の中には
インフルエンサー自身の容姿を写した写真と共に投稿してもらうこともあります。
源泉徴収の対象となるモデルに対する報酬とは雑誌、広告
その他の印刷物にその容姿を掲載させて受け取る報酬のことをいい
印刷物に容姿が掲載されるケースのみが源泉徴収の対象になることから
インフルエンサーがSNSに投稿した自身の容姿の写真を使用して
企業がチラシ広告等として印刷しない限りは、インフルエンサーへの報酬は
源泉徴収の対象となるモデルに対する報酬に該当しないこととなります。
一般的にインフルエンサーのSNS投稿に対する報酬は
源泉徴収の対象のいずれにも該当しないことになりますが
例えば企業がインフルエンサーに新商品のデザインを依頼し
その対価として報酬を支払う場合などは源泉徴収の対象となります。
依頼内容によって、源泉徴収の対象となるケースがありますので
内訳の確認はするようにしましょう。
t.w