オリオン税理士法人
法人税

居住用賃貸建物の消費税・法人税の取扱い


居住用賃貸建物を購入した場合には、消費税の仕入れ税額控除の対象外となるのは周知のこととは思います。
実際、居住用賃貸建物の範囲は?と聞かれた場合、迷ってしまったので再度確認しようと思いました。

・居住用賃貸建物について
住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物(①)であって
高額特定資産(②)又は調整対象自己建設高額資産(③)に該当するものとあります。

・住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物の範囲
「住宅の貸付け(法別表第一第13号《住宅の貸付け》に掲げる住宅の貸付けをいう。以下この節において同じ。)の用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。以下この節において同じ。)以外の建物であることが要件となるが、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」とは、建物の構造及び設備の状況その他の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなものをいい、
例えば、次に掲げるようなものがこれに該当する。(令2課消2-9により追加)
(1) 建物の全てが店舗等の事業用施設である建物など、建物の設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物
(2) 旅館又はホテルなど、旅館業法第2条第1項《定義》に規定する旅館業に係る施設の貸付けに供することが明らかな建物
(3) 棚卸資産として取得した建物であって、所有している間、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかなもの」となっております。

・高額特定資産
高額特定資産とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額が1,000万円(税抜)以上の棚卸資産又は調整対象固定資産のことをいいます。

・調整対象固定資産
調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物およびその附属設備、構築物、機械および装置、船舶、航空機、車両および運搬具、工具、器具および備品、鉱業権その他の資産で、一の取引単位の価額が100万円(税抜)以上のものをいいます。

・調整対象自己建設高額資産
調整対象自己建設高額資産とは、他の者との契約に基づき、または事業者の棚卸資産として自ら建設等をした棚卸資産で、その建設等に要した課税仕入れに係る支払対価の額の110分の100に相当する金額等の累計額が1,000万円以上となったものをいいます。

上記より、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物で高額特定資産又は調整対象自己建設高額資産に該当するものとなります。
さらにかみ砕くと

住宅の貸付けのように供する建物・住宅の貸付けのように供するか不明の建物で購入価格や建築価格が
税抜きで1千万円以上の資産ということになります。

*ちなみに社宅は、従業員等から家賃を徴収する場合は該当し、徴収しない場合は、居住用賃貸建物に該当しないこととなります。


・居住用賃貸建物の判定時期について
「居住用賃貸建物に該当するかどうかは、課税仕入れを行った日(自己建設資産にあっては、法第12条の4第1項第2号《高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例》に定める日。以下11-7-2において同じ。)の状況により判定」となっております。

また、「同日において住宅の貸付けの用に供しないことが明らかでない建物(高額特定資産及び調整対象自己建設高額資産に限る。)については、居住用賃貸建物に該当するのであるが、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の末日において、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかにされたときは、居住用賃貸建物に該当しないものとして差し支えない。」とされております。

居住用賃貸建物の取得等に係る消費税額の調整ができる期間が設けられております。
居住用賃貸建物の課税仕入れを行った日において仕入税額控除の制限がされますが、
居住用賃貸建物を取得した日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の末日までに
課税賃貸用(事務所など)に供するか、譲渡した場合には、仕入税額控除を調整することができるとなっております。

居住用賃貸建物は、法人税法上ですと控除対象外消費税額等に該当することになります。
上記のように、居住用賃貸建物を取得した日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の末日までに
課税賃貸用(事務所など)に供するか、譲渡した場合には、消費税については調整が行われますが、
控除対象外消費税は、取得事業年度に計算した控除対象外消費税を翌期以降で調整計算する必要はありません。

居住用賃貸建物の取得があった場合、消費税、法人税の両方の取り扱いに注意しましょう!

ビッキー

お使いのブラウザーはこのサイトの表示に対応していません。より安全な最新のブラウザーをご利用ください。