・土地の無償返還に関する届出の概要
法人が借地権の設定等により他人に土地を使用させた場合で、その借地権の設定等に係る契約書において将来借地人等がその土地を無償で返還することが定められている場合に、これを届け出る手続です。この届出を行っている場合には、権利金の認定課税は行われないこととなります。なお、この届出者は、土地所有者が個人である場合であっても、提出することができます。
・届出書の提出先
土地所有者の納税地の所轄税務署長
・添付書類
契約書の写し、土地の価額の計算の明細その他参考となる事項を記載した書類 各2部
・土地の評価
贈与または相続等により土地を評価する場合、自用地評価×80%により評価します(相当地代通達8)。また相当の対価を得て土地を貸付けている場合には相続税の計算上、小規模宅地等の特例が適用できます。
・借地権の評価
原則はゼロ(相当地代通達5)ですが、土地所有者と同族法人の株主が同一の場合には、同族法人株式価値(純資産価額方式)の計算上、自用地評価×20%により評価して計上します。
・土地を譲渡した場合
仮に第三者に土地と建物を同時に譲渡した場合、その法人は建物のみの譲渡、土地所有者である法人または個人は土地のみの譲渡となります。土地の譲渡対価を借地権部分と底地部分に按分はしません。
・土地を譲渡した場合の届出
土地所有者が、無償返還の届出をしている土地を第三者に譲渡した場合、新たにその第三者と法人との間の賃貸借契約に変わるため、土地の無償返還に関する届出についても新たに提出する必要があります。
なお、旧賃貸借契約に係る届出については、特に廃止届等は用意されていないため、新たに提出された届出をもってその効力が消滅するものと考えられます。
(小林)