オリオン税理士法人
消費税

令和5年10月1日をまたぐ短期前払費用の取扱い


インボイス制度がはじまっても、従前同様、法人税上、支出時の課税期間に短期前払費用として損金処理されたものについては、消費税においても、支出した課税期間の課税仕入れとして扱われることがインボイスQ&A96で明らかとなっています。

では、令和5年10月1日をまたぐ取引については、どのようになるでしょうか。

Q&Aの38(注)4では、次のように記載しています。

 短期前払費用に係る課税仕入れの計上時期について、その支出した日の属する課税期間の課税仕入れとすることができます(基通11-3-8)。この場合、当該短期前払費用に係る取引に係る売手における課税売上げの計上時期(課税資産の譲渡等の時期)が令和5年10月1日以後になるものであっても、買手において同日前までに課税仕入れを計上しているものについては、区分記載請求書等保存方式により仕入税額控除の適用を受けることができます。

つまり、買手側で令和5年9月30日までに短期前払費用処理をしているものについては、現行の区分記載請求書の保存のみで、消費税においては仕入税額控除を適用することが可能。

短期前払費用として処理せず、役務の提供に応じて毎月費用処理し、課税仕入を認識する場合、令和5年10月1日以後の期間について仕入税額控除を適用するためには原則としてインボイスが必要となるものと考えられます。
したがって、原則的には買手側はインボイスの発行事業者に対してインボイスの発行を求める必要が生じます。
ただし、実際の実務上の運用では、取引先から登録番号を取得し、当初請求書と紐づきになるように保管すればよいものと思われます。

また、仮に相手方が免税事業者等の場合は、短期前払費用処理したとしても、10月1日以後の消費税額の調整が必要となるので、併せてご留意ください。

(T.I.)

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